Agile Day4に参加させていただきました。
とても評判がよく、人気の高いイベントなので、わたしのようにバリバリ開発中心とは言えない人間が参加するのは、正直申し訳ない気もしています。
(人数の関係で参加できなかった方もいらっしゃるかと思うので...。)
せめて内容などを少しでもお伝えできたら、と思い、簡単なレポートを書いてみることにしました。
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わたしが『アジャイル』というキーワードに関心を持ったのは、Redmineがらみでいろいろな情報を探っていたことがきっかけです。ただ、はじめはXPとかスクラムとか、耳慣れない言葉ばかりで、とても縁遠い世界だな...と感じていました。
そんな中、会社で打合せの『ファシリテーション』スキルについてのミニ講座を受け、限られた時間の中で効率よく実りのあるミーティングを行うためにはどうすれば良いのか、というのを真面目に考えるようになりました。
誰にとってもそうですが、定時でしか勤務できない身のわたしにとっても、これは大きな課題です。また、生産性の高いエンジニアの皆さんの貴重な時間を、無駄な打合せでつぶさせたくない、ということも常々思っていました。
何気なくいろいろなアジャイルに関する資料を見ているうちに、こうしたファシリテーションの面についても大きく取り上げられていることに気が付き、まずはできることからはじめよう、と思うに至りました。
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さて、本題。
たくさんの方々が #msagile で情報を発信してくださっているので、あまり良く知りも知らないわたしが、多くを語ってもどうかな、と思いますが、どうかお付き合い下さいませ (_ _)
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はじめに: マイクロソフト 長沢さん
まず、はじめは、マイクロソフト(以下、MSと略させていただきます)の、長沢さんのご挨拶から。
会場の案内や、MS社としてのアジャイル開発に対する取り組みなどをご説明いただきました。挨拶とは言え、お話を短い時間でまとめるというのは、やっぱり難しいものだと思います。
ご本人も、『5分の時間内に話が終わったのは、はじめて』と仰っていました。
書き留めたメモの中での、長沢さんからのメッセージは、こちら:
どんな些細なことでも、次につなげる! あなたの仲間はここにたくさんいます!
おかげさまで、ちょっと肩身の狭いわたしも、『ここにいても良いかしら』と感じることができました。
こうしてイベントが開始しました。
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1. アジャイルでのテストを考えてみる: TIS 近江さん
近江さんは、テスト担当者としてプロジェクトに関わったご自身の経験を元に、お話をして下さいました。
近江さんの言うテストの目的は、『不具合を検出するためのもの』
『リリースの判断、次のステップに進めるかどうかの確認や評価のために行うもの』、ということでした。
アジャイル開発は、前提や決め事の変化に対応することを掲げているため、テストについても、先の段階で考えたものが前提と会わなくなる場合があります。
やはりテストにおいても、もそういう変化とか反復をうまく受け入れていくことが大事、と仰っていたように、わたしは受け取りました。
近江さんからのメッセージは、こちら。
(わたしの勝手な受け取り方で表現していますので、間違いがあったら申し訳ありません....)
変化や反復は、お客様、チームの最新状況を踏まえて、良いものを考えられる機会ととらえていきましょう。 必要なものはドキュメント化しておきましょう。そうすることで、テストの勘所がわかったり、効率よく進めることもできるようになります。 反復の機会には、テスト担当者も積極的にお客様とのコミュニケーションを持ちましょう。デモの場面にも参加して、お客様の本当に必要としているものは何かをキャッチしたり、すばやい調整につなげることができます。
恥ずかしながら、わたしはテストの経験がほとんどないので、近江さんのお話についていけていなかったと思います...。
ですが、『変化』を『チャンス』と受け取ることや、お客様(利用者)と接する機会を増やすことが大事という姿勢は、不得手ではありますが、取り込んでいこうと思います。
また、『変化のための場当たり的な対応』と思われないように、きちんとドキュメントを残すことは大事だよね、ということも感じました。
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2. やさしいアジャイルのはじめ方: 永和システムマネジメント 西村さん
アジャイルにおいても著名な方なので、わたしが説明するまでもありませんが、ご本人のお話を拝見する機会は初めて。
メリハリの利いた、楽しいプレゼン資料でお話をすすめて下さいました。 (フォントが可愛い、というご意見もあったようです)
アジャイルの動向として、本来は開発現場から広がってきたものだが、最近はマネージャ、経営層が興味を持つようになってきた、とお話して下さいました。
その背景は、こんなところにあるそうです:
- ビジネス優先の開発が求められている
- 生産性の向上が必要 (コスト、品質といった面での生産性)
- 内製化が進んでいること
(いままで外注していたものを、自社開発する必要が出てきた。じゃあ、アジャイルでやってみる?という動き)
一方で、現場の望みは、『とにかくプロジェクトがうまくいって欲しい!毎日不安を持たずに仕事をしたい!』に尽きるとのこと。
そこで重要になるのが下記の点:
- 十分な事前の検証ができること
- より正確な情報でプロジェクトの進捗や課題を管理できること
- リスクがあるなら早期発見し、さっさとつぶすことができること (リスクに怯えず安心して眠りたい!)
ただ、プロジェクトの中では、『予測していなかったことも起こりうる』、ということを心構えとして持っておくことが重要だそうです。
(最近わたしもそういう状況に遭っただけに、そういう変化が起こりうることへの耐性をもっておかないといけないなと感じました)
西村さんは、やさしいアジャイルの第一歩として、こんなことを述べられていました。
- 一回でも多く、動くソフトウェアを提供することを目的とするのはどうでしょう?と。
また、お話はツールやコーディングではなく、ファシリテーションの面に進んで行きます。
おなじみの朝会(デイリースクラム)や、ふりかえりの効果的な方法などをお話下さっています。この内容に関しては、西村さんの資料をどうぞ。
- http://d.hatena.ne.jp/nawoto/20101214/1292345260
- http://www.slideshare.net/nawoto/how-to-easily-start-agile-development
もちろん、そういう時間が取れないという悩みについては、朝じゃなくても良い、夕会だっていいし、ランチミーティングだっていいんじゃないの、というアドバイスも。
(ちなみに、8時半-5時に制限されるわたしの場合は、朝会が一番良いし、悩み事や、やるべき課題は朝一にすっきりしたいと思っているタイプです)
こうしたプラクティスの導入を、うまくメンバーに勧めていけない場合でも、『プラクティスには目的がある。目的がみんなで判れば、導入しやすくなる』とのアドバイスもありました。
個人的には、いま関わっているプロジェクトでも、実は朝会をやりたいんだけど、時間のことを考えると切り出しにくく、躊躇している状況です。でも、メンバーの皆さんに、目的や効果をだんだんと気づいてもらえるように、なんとかうまく運んで行きたいな、と考えている次第です。
おかげさまで、前に進む元気が沸いてきました。ありがとうございました!
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3.自律的、自己組織的チームを作るコミュニケーションワーク : セントラルソフト 林さん
始まりは、『おおー!?』『ええー?』という掛け声の練習から。
アジャイルがきっかけ(?)で、慶事を迎える運びとなった林さんのアイスブレイクに、会場もいったんリラックスした雰囲気になりました。
林さんは、『すくすくスクラム』の名づけ親の方だそうです。
林さんのセッションでは、自己組織化のためのNLPというコミュニケーションのための心理学のうち、メタモデル、ミルトンモデル、エクセレントサークルという3つの手法を紹介して下さいました。
(ここで言う自己組織化とは、チームが自発的に活性化し、生き生きとし、協力して互いに成長しようとしているとても良い心理状態に至ること、とわたしは受け取っています)
心理学の専門のお話はなかなかついていけませんでしたが(汗)、NLPは、上手なコミュニケーションを築くためのテクニックを体系化した学問のようです。
そのうちのメタモデル、ミルトンモデルは、『質問』に関するテクニックだそうです。 (ミルトンというと、赤ちゃん用製品を思い出してしまうのですが)
質問による活性化の勘所として、ご紹介下さったのは、下記の点です。
- いったん相手に共感し、考えさせることが重要。
- 相手の考えを受け入れているという、『承認』のメッセージも重要。
承認のメッセージは、単純に挨拶する、朝会の中で相手の『名前』を言って意見を聞く、というスタイルでもよく、重要なのは『あなたのことを尊重しています』というイメージを伝えること、だそうです。
この観点、子育ての面、子どもとのやりとりにも欠かせない、重要な点だと感じました(^^;
とくに、承認されているんだよ、意思が尊重されているんだよという安心感は、子どもがいろんなことにチャレンジしていく原動力になっている気がします。大人だってそれは当てはまるんでしょうね。
実践の場である朝会については、西村さんのセッションでも触れられていましたが、このようなことを目指すといいそうです。
- 目標の確認をする
- 可能性のある選択肢を広げる場とする (ここでも承認のメッセージをうまく使いながら)
- どの課題をいつやるか、という意思の確認のための場とする
2点めについては、『考えを広げる質問』で情報収集し、対策の可能性を広げて行きます。(たぶんミルトンモデル)
そして、そこから『閉じてまとめていくための質問』をおこなって、3点めの課題や行動の明確化につなげていくということを仰っていました。(こちらがメタモデルかな?)
さて、セッション自体は、お話だけではなく、実践を交えつつ進んでいきました。
行ったことは、次のようなものです。
(1) エクセレントサークル
自分にとって最高の状態を思い浮かべ、それをいつでも追体験できるようにトレーニングすることで、緊張や困難な時でもリラックスし安定した心の状態を保てるようにするための、『エクセレントサークル』という方法を実践しました。
(2) 2分間相手の話を聞く
2人で交代で、互いに相手の話を2分間づつ聞く、というもの。話したくなってもできるだけ聞くようにしてください、との指示をいただき、今回のイベントの参加目的を述べ合いました。
(3) ミルトンモデル、メタモデルを踏まえた質問のやりとり
3人が組みになって、1人が質問をし、1人が答え、1人が観察するということを行いました。こちらもローテーションしてそれぞれが必ずどの役割も行うようにしました。
後半は、これらのお話や実践を踏まえ、6人のグループでのワークショップを行いました。
まず、みんなで、今回のイベントの参加目的を書き出しました。共感できるものがあったら、星印を付けました。
つぎに、課題について各自書き出しました。ここでも、共感できるものがあったら、星印を付けました。
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と、ここまで偉そうに書かせていただきましたが、実は、わたしは17時過ぎまでしか時間が確保できず、このセッションの最後を見届けることができませんでした....(_ _)
ワークショップ形式で進んでいたのですが、中途半端にしか参加できず、逆に場を乱していなかったか心配になっておりましたた。結果もどうまとまったのか...。
この記事を書いている途中、Webを調べたところ、みんなで書き込んだ模造紙は、林さんのBlogに掲載されていることが判りました。 (ありがとうございます!)
目的と課題の共有を行ったあと、この作業を通しての『気づき』と、『対策』を導いて行く、という流れになっていたようです。
想像になってしまいますが、こういう流れだったのかな...と思います。
- 文章に書き出すことで、自分の目的と課題をみんなに伝わる形で表現する
- 表現した内容をみんなで見て、共感をしてもらう
- 共感した内容から、各自が気づきを得る
- 『みんな』の課題としての対策を、一緒に導いていく
今回は、各自の思うことを引き出しやすいように、見て判りやすいように、模造紙を使ったのかなと思います。
実際は、これらを会話の中で実践していく形になるのでしょうね。そのために、メタモデル/ミルトンモデルを利用していくのかな、と、書いている今、まさに『気づき』ました。
ただ、なかなか会話でうまくいかなさそうなので、お互いの考えを共有するための補助ツールとして、ホワイトボードをうまく使っていきたいなと考えています。
わたしがご一緒させていただいたグループの模造紙もちゃんとありました :)
対策に記載してあるとおり、自分の会社に持ち帰って、(とりあえず自分から)やってみることにします。
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最後に:
同じグループになった皆様、講師のみなさま、スタッフのみなさま、貴重な時間を共有させていただき、どうもありがとうございました。
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