Atlassianユーザ会 20141029 レポート

20141029 に、Atlassianユーザグループのイベントに参加してきました。

平日夜間はなかなか時間が取れず、この手の外部の勉強会は年1回か2回なんですが、今回家人の協力を得て、はじめての参加となりました。メイントピックはConfluence。しかも、数年単位で会社全体で運用しているYahooさまの事例ということで、まさに自分の欲している情報です。

大変有意義なイベントでしたので、ひさしぶりにBlogに残します。


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会場について

今回の会場は、品川シーサイドの楽天様のビルです。以前2号館なら別イベントで伺ったことがありますが、本館は初めて。3年半前の2号館ではそんな雰囲気ではなかったのですが、本館に入ると、やはり英語が聞こえてきました...。Oh....^^; 
会場への移動途中も、掲示物は全て英語で表記。時節柄、ハロウィーンパーティ?のチラシや、社食のメニューなんかもありました。
会場は、会議室ではなくカフェテリア(多目的スペース?)の一角。ガラスで仕切られたミーティング用のスペースがあり、楽天様の社員の皆さんからも良く見える感じになっていました。
本来なら、他社のオフィスに立ち入ることなんか出来ない小さな人間ですが、勉強会では堂々と立ち入りが出来ます。なんとも社外勉強会とは有り難いことでしょう!
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1. Confluence and HipChat Keynote (Bernardo de Albergariaさん @Atlassian)

Bernardoさんは、Confluence and HipChatのといったコラボ関係のプロダクトの責任者としてお話して下さいました。コラボ製品に いっぱいリクエスト出せば、きっとBernardoさんが頑張ってくれるだろう、と期待しています。(その前にまずは自分は英語ですかね...)
こちらは英語でのセッションでしたが、比較的ゆっくり目にお話して下さったので、スライドと合わせてかろうじて内容が理解できました^^; 
※Atlassian SummitでのKeynoteロングバージョンでは、もっとテンポが早いので、今回は日本人向けに配慮してくださったんだなあ、という気がしました。

以下、ざっくりのメモです。良くわからなかった点、間違いも多々あるので、VIDEOのほうをご参考に...。

Confluence & HipChatを数字で見てみよう

  • 900万人が毎日Confluenceをアクティブに使ってるよ。
  • HipChatで交わされるメッセージは毎日3億くらい。
  • HipChatのビデオは1000万分、全部見るのに19年もかかっちゃうよ。
  • HipChatでシェアされるファイルは2000万。オーウトラリアのカンガルーに1つずつ配れるよw
  • Confluenceのアドオンは500+
みなさんに、チームにもっと有効な時間を使ってもらうために、わたしたちは価値ある機能を提供し続けています、とのこと。

クリエイティブな時間を取り戻すために

  • 本来クリエイティブなことをしないといけないんだけど、それには手間、オーバーヘッドがたくさん。
    (ペーパーワーク、メール等コミュニケーションにかかるコストで、みんなの時間が断片化しちゃっている...)
  • そういう手間を減らしたい、そこでHipChatですよ。
  • HipChatのクライアントはどんどんよくなってます!起動にかかる時間も劇的に改善されたよ!
  • You must try, Confluence Questions. (Confluence Questions使って無い?今でしょ!)
  • DataCenterは可用性、信頼性、スケーラビリティ上がってます。パフォーマンスも上がってます、ぜひどうぞ!

今後のロードマップについて

  • つぎのバージョンで、インライン編集できるようになります。
  • コードレビューのように、インラインで本文にコメントできるようになります。(ホント??)
  • 同時で複数でコラボしながら編集できるようになります。 
  • Officeファイルの中身読み取ってページと同じようにコメントできるようになります。
  • 非IT部門にもとっても非常に役立つので、ぜひ時間を取り戻して、クリエイティブなことに専念しようね!
などなど...。
個人的には面白そうなんですが、Confluenceのライブ編集に関しては通信要件も心配なところ。
通信が増えて重くなるとか、データが壊れるリスクが増えるとかだと心配なので、よーく確認しないとな、と思っています。もちろん、セキュリティ周りのバグFixや機能向上、パフォーマンス向上があるといいなーと思っています。

2. Confluence + JIRA + Stash : ミニマリストアプローチ」(@kawagutiさん@Rakuten)

アジャイル開発系のコミュニティでは良く知られている、川口さんのお話です。ビアバッシュの間の10分くらいの間でのお話でした。
どれくらいの規模でお使いなのか、聞いておけばよかったです^^;
『ビールとピザに夢中になっている間に、ささっとお話しますー』ということを仰ってましたが、連携させて使っているという点で、これも聞きたいと思っていたセッションでした。
Confluence, JIRA, Stashは私も連携して使い始めていますが、かといって開発者という立場ではないので、とくにプロダクト(ソフトウェア開発)視点JIRAの使い方には『ほおー』と思うものがたくさんありました。
以下、これも参考程度のざっくりなメモです。聞き間違いなどあるかもしれませんので、精確にはVIDEOをご確認ください。

チームだけならJIRAでもなんでもいい

  • 開発者は基本的にチケットが好き(JIRAとかTracとかRedmineといったITSが好き)
  • 『チーム』の情報共有は、実際は何を使っても良かったりする。

チーム外、ステークホルダーとビジョンを共有するためには?

作るソフトウェアのビジョン、コンセプトを共有するのに何を使う....? 川口さんは、まずは 付箋の活用 をお勧めしていました。
それは、とにかく早くアイディア、意見を『見える化』するため。
  • アイディア出し、合意形成、ディスカッションは、まず付箋がいい!(いきなりConfluenceとかじゃないよ)
  • 書いて思い出せるだけで良い!
  • 書記が1人でみんなの意見を順に聞いてキーボードで打ち込むより、各自で一斉に付箋にアイディアを書き出すなら、絶対にそっちのほうが早いよ!(確かに)
  • 付箋をその場でキャプチャして、あとからでも思い出せるようにする。いっぺんに取り込むには、PostIt Plusアプリを使うといいよ!(3M!)

付箋からConfluenceへ

付箋が集まって、課題やビジョンが見える化されました。全員で共有しました。でも、その課題やビジョンに継続して取り組んで行かないといけません。
  • ここでConfluenceの出番ですよ。Confluenceなら付箋の画像は簡単に取り込めるよね!
  • 付箋はざっくりでいい、あとでConfluenceで細かい状況、背景を書き込んで行けばいい。
  • ビジョンには、「いつぐらいに、誰に、何を提供する」といった期限やマイルストーンが大事。
    そういうのを表形式で扱うにも、Confluence便利です。
     
Confluenceに特化しないTipsにては、マイルストーンに名前を付ける のがおススメとのこと。(ステークホルダーにどこまで進んでいるか理解してもらいやすい)
とにかく、スタートアップでのアイディア出し、ビジョンの共有は付箋が良いけど、その後のビジョンのメンテナンスはConfluenceが良いよ、とのこと。

その他のConfluenceのお勧めやTipsなど

  • パーミッションをガチガチにかけると、部署間の情報共有ができなくなっちゃう。あんまりパーミッションをかけすぎず、余裕を残しておくほうが良いよ。
    • パーミッションを緩くしておけば、検索出来る人が勝手に検索してたどり着いて、勝手に情報の再利用をしてくれる。(Yahoo楽天様ではこれを重視してたとのこと)
    • パーミッションを厳しくしすぎるとすごく簡単に『サイロ化』してしまうよ。部署間の連絡が全く取れなくなっちゃうよ!
  • 編集の履歴管理、Diffが取れるのは、非エンジニアに以外と知られていないです。これ便利ですよ。
  • アーキテクチャやコンセプトをホワイトボードに書いたら、それをポンチ絵のままでも良いから貼っておくのが良いですよ
    • 全体を俯瞰できる図が何かしらないと、みんな『いま何やってるんだっけ?』という事体になりかねない。

JIRAのつかいどころ / おすすめなど

  • Confluence上のビジョンから、バックログ、タスクが出来て来たらJIRAに落としましょう。
  • JIRAに落とすときは、『タイトル』を重視しましょう。(JIRAの表とかスクラムボードには、タイトルしか出て来ないし)
    最初はタイトルだけはしっかりしておいて、中身は少しでも構わない。 
  • タスクは細かくしすぎないほうがいいですよ。割れば割っただけタスクが増えるだけなんで、意味がある細分化なのかどうか考えてね。
    サブタスクも更新が面倒になるだけですよ。 
  • 作業ログを貼っておくのは有効です。
  • 課題のタイプは『Story(実現する機能)』『バグ(不具合)』『質問』くらいで十分だと思います。
  • 大事なのは、JIRAのチケットを綺麗に書くこと/綺麗に分類することではないですよ!
    プロジェクトメンバーの顔色が悪くないか、ちゃんと会社来てるか、そういうことに気を配ってくださいね!  
JIRAについての部分では、JIRAに特化する内容ではなくて、RedmineやTracでもおんなじことが言えるかな、と思いますね^^

Stashに関して

Stashについては、さらりと触れられていました。いわゆる課題に紐づいたブランチを切って、コードレビューして、マージして行きましょう...というあたりです。JIRAとの親和性は言う迄もないのでしょうね。

アジャイル開発に関してのお勧めなど

プロダクトにこだわらないお勧めとしても、いくつか。
  • プロダクトを作る場合でも、変わるものと変わらないもの、変えにくいものがある。
  • アジャイルな手法であっても、プラットフォームやインフラは、あとから変更しにくい。早めに決めておいて、明確にしておくのがいい。
  • 課題/チケットに落としたあとは、チームでの活動。
    ここでは、『物理ボード』に付箋で スプリント単位のTODO - DONEを管理するというのも有効ですよ。
    (付箋には課題のIDやストーリーポイントを書いておきましょう)

感想/メモなど

10分ほどでも濃いお話でした。
楽天様も、以前大規模Redmineの運用事例で話題になりましたが、今はAtlassian製品に置き換わっているのかな?(全部かどうかは判りませんが...)
海外拠点とのやりとり、英語公用化という背景が後押しし、そもそも英語のプロダクトで海外で評価の高いAtlassian製品に切り換える必要があった、というのもうなずけます。
* * *

3. 大規模Conflunceの運用~管理画面でできるあれこれ」 (高橋邦洋さん@ヤフー株式会社)

たいへん落ち着いた口調で講演してくださってましたが、ところどころに笑いを誘う名言が...。
  • 『爆速』 じゃないんです 
  • ありのまま』、では使えません(大規模の場合、です)
2007年からYahooに入社、ずっとConfluenceと社内システムを扱っているとのことです。(Yahooのサービス聞かれても全然わかりません、とのお言葉がw)

こちらもメモになります。同様に、精確にはVIDEO側をどうぞ。

なぜこのテーマ?

  • 以前のユーザ会では、Confluenceをどう広めたらいいですか、教育どうしますか、という話題が多かった。
  • 社内で広まるとどういうことが起こるか?ユーザ増える、アドオン増える、多機能化する。
  • とうぜん性能問題が出て来る!
  • 大規模運用をする上でのTips、トラブル等の情報交換をし、快適なConfluenceライフを送りたいからこの場でお話することにした。
....なんというご配慮!非常に有り難いセッションです。

どれくらいの規模なんですか?

  • ユーザ数8000人規模、正社員の8割くらいがアクティブユーザとして使っている
  • スペース数5000
  • ページ数1000万(履歴込み。以前は履歴込みで1600万)
  • 一日の作成/更新15000ページ
  • 2006年から使っている
  • バージョンは最新ではない / バージョン2.3.xのころから触ってます!

管理画面だけでもできること

  • 実は設定項目が非常に豊富。OS上のXMLを修正して再起動、とまでいかなくても出来ることは多い。
  • バージョンが上がるたび、画面から設定できる項目が増えている。添付ファイルはデフォルト10MB。
  • 添付ファイルはDrag / Dropで簡単に添付できるが、その中身まで検索インデックスを作る。
    インデックス生成による負荷を抑えるため、添付ファイルのサイズを抑えている。
  • 編集時の自動保存もデフォルト30秒。
    これも人数が多ければずっとDBとの通信をしっぱなし。調整を行っている。
  • 社内に広がると、CSSやHTMLを駆使して、非常に凝ったリッチなページを作る人が出て来る。
    デフォルトで読み込みのタイムアウトは2分だが、2分もかかるページをガツガツ作られると全体に影響が出るので、タイムアウトを短くする。
    20〜30秒でタイムアウトするようにし、リッチで重いページを作るひとには犠牲になってもらい、Confluence全体を助けるようにする。
  • 添付ファイルもバージョン管理されるので、同じファイル名で何度も更新されると履歴がたくさん増える。やはりサイズ制限は要る。
  • Atlassianのアドオンには魅力的なもの、便利そうなものがたくさんあるけど、大規模で利用することも考慮して作っているものは少ない
    大規模で使えば、一気に問題が出て来ることもあるので注意。
  • アドオンを加えても、プラグインの実装に応じ、モジュール別で機能を抑止できることもあるので、アドオンを追加したままではなく、設定できる部分を探す。
  • プラグインの設定でスペースの範囲をしぼって設定できるマクロがあるので、それは負荷がかかることが多い。(範囲をしぼれるものは要注意)
  • 検索インデックスを使うマクロも要注意。コストがかかるものが多い。

本体機能でも、プラグインで追加されているものは調整可能

  • バージョンアップで機能が追加されている場合、プラグインの形で提供されてるものも増えてきた。
  • 必要ない機能であれば、プラグインとしてOn/Offできる。
  • 例えば「イイネ!」機能はConfluence Like Pluginという形で本体に加わっているので、『イイネ!』機能は不要というところはOffにできます。
  • スケジュール(バッチ)のジョブも調整可能。
  • インデックスキューのフラッシュの実現のために、5秒に一回動いている。(通常の検索インデックス生成と別プロセス!)
    • 以前は1分に1回だったのに、最近5秒に一回というアグレッシブな設定になっているw
    • Yahooでは状況が酷い時、このジョブを日中は動かさないようにした、そしたら劇的にパフォーマンスが上がった!
    • モバイル用のダッシュボードの検索インデックスも別に30秒に一回動いてたりする!
  • 日々の更新サマリーメールは全体でOffにしている
    • Yahooの場合、日々15000ページ更新しているので、この更新をユーザ毎に選別して通知を生成するのも負荷がかかる。
    • 設定Offを検討するなら、大規模になる前に、サマリーメールを利用している方がどれくらいいるか調査しておくといいでしょう。
  • プロファイルを活用しよう
    • 動的なロギング設定とか、プロファイリング(動的性能解析)も、画面からできるよ。
    • サポートしてもらう場合も、『なんとなくここが遅いんですけど...』じゃなくて、『このページを特定してプロファイルしたらこんだけ遅いんだ!』という証拠を突きつけたほうがいいんじゃないでしょうか。
    • 本番でなくて検証環境でプロファイルしようね
  • サポートツールも活用しよう
    • だんだん充実してきてます
    • 日々のログをスキャンして、エラーや解決方法をサジェストしてくれる機能があるよ!(ヘラクレス)
    • スレッドダンプも取れますよ
などなど....。
最後に、Atlassian側から発表のお礼として『何が欲しいですかー?』と聞かれると、『早いConfluenceが欲しいです!(キリッ)という回答をされてて、会場からも拍手が。

感想/メモなど

ほんとうに、有償でYahooさんにセミナー開いてもらっても良いくらいの情報でした^^;
(Blogに載っけていいのか悩みました)

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最後になりますが、会場をご提供下さった楽天様、同社のスタッフの皆様、ユーザ会スタッフの皆様、HipChatでのライブ通訳をして下さったサムライズムの山本さま、ありがとうございました。
(素敵なニュースもありました!)

また、初めての参加でコミュ障なため、ボッチで誰とも会話しないで終わるかも...と思っていたところを、エキスパートの担当の方が声をかけて下さったり、皆さんにご紹介下さったので、大変救われました...。
やはり実運用、大規模になってくるといろんなことが出て来ます。ノウハウや悩み、情報を交換できる場はありがたいなあ...と感じております。

以上、長々と書きましたが、ご報告となります。
不適切な表現、間違いがございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

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